歌唱者とベクトル

先日のTwitterの反響が意外に多くあり、

正直ちょっと驚きを感じています。

 

商業音楽の世界で生きる私にとって、

歌も音楽も今は職業です。

 

その立場から客観的に見たとき、

時代の正解は100%マーケットにある。

 

揺るぎない己の信念とは別に

この視点を持ち合わせていなければ

音楽を職業にすることは叶わないと断言できる。

 

先日の番組で最後に負けた彼女の歌が

どうして負けという結果になってしまったのか。

 

私が感じたこと。

 

今の彼女は

目の前にいる多くの観衆ではなく

これまで踠き苦しんできた自分の心に向かって

自分のために歌ってる。

 

でも求めてるのは

誰かの心に届いて認められる現実。

 

もし彼女がこれからも

ずっとこの矛盾に気づかずに歌い続けるなら、

彼女の歌は永遠に他人の心には

届かないままだろうと思いました。

 

昔の自分を重ね見るようで

とても居たたまれない気持ちにもなりました。

 

彼女のようなケースは

得てして歌唱力のより高い苦労人タイプに

ありがちな現象でもあります。

 

このハードルにつまづいて乗り越えられない人も

そもそも気づかないままいく人もたくさんいますが、

 

シンプルに置き換えて考えれば

私たちが日常生活の中で、たとえば大切なことを

目の前の人にちゃんと伝えるために色んな心配りが

必要なのと同じことだと思います。

 

聴衆は無意識の真実をつねにもっています。

 

だから目の前で歌っているこの人の

心のベクトルが自分に向かってるのかそうでないのか、

それが無意識であろうがなかろうが瞬時に感じ取るのです。

 

その単純なしくみを

気づくまでにどれだけ多くの時間を失ったことか。

 

だからこれから道を志す

若い歌唱者たちには早くそのことに気づける

いいきっかけを拾ってほしい。

 

それが私の願いです。

 

過去指導した人数はけっして多くないですが、

私が歌唱指導でメンタルカウンセリングの時間を

重視するのもそれが一番の理由。

 

本当に人に伝わる良い歌を歌うには

歌唱者の心のコンディションがとても重要で、

それが何より必要なケアだと自身の経験から

感じてきたからです。

 

何のために歌いたいのか?

心のベクトルがほんとうに目指す方向と揃っているか?

 

やみくもに夢を追いかける前に

まずはそれをたしかめてみてほしいと思います。

 

そこに何らかのコタエはあるはずです。

 

 

私が思うベクトルが誰かの心に向かっている歌↓

素晴らしい歌い手さんです。

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コメント: 2
  • #1

    たかぞう (火曜日, 28 11月 2017 17:16)

    こんばんはです。

    つまり、人々の心に満足に伝わってないってことですよね。
    あと、仕事や恋愛にも置き換えて考えれるケースにもなりますよね。

    それに、心の余裕が無いとベストなパフォーマンスも出来ないし、心と体と声の方向性が一致しないと、ブレて壁に突き当たる…。

    なんかスポーツの世界と何処か通じるような気がします(心技体ってやつ)。

    普段路上ライブをしているアーティストさんって、きっとこの記事で指摘されていることの余裕が無い方が殆どなんだろうな…。

    そう考えると、川嶋あいさんの凄さが改めて分かります。

  • #2

    iidasatomi (火曜日, 28 11月 2017 17:39)

    >たかぞう さん

    コメントありがとうございます。

    とても難しいことですが
    避けては通れないことだと思いますね。

    歌はその人自身なので、
    体や心の状態がそのまま歌に投影されます。

    商業音楽は人々が癒しや楽しみ、勇気など
    自分の何かを満たすために聴くわけなので
    その人たちに意識が向いていなければ
    どんなにテクニックが高くてもはなから
    伝わるはずがないということは明確ですね。

    主語を一人称から二人称にできたら、
    同じ人が同じ楽曲を歌っても180℃別のものに
    生まれ変わると思います。