解剖学と声の相関性

歌唱者にとって、心身のコンディションは

絶対的に重要と考えます。

 

どちらが先かというのは鶏と卵の関係と同じで、

その人によっても時期によっても変わるものですが

心のコンディションはフィジカルによって長い時間とともに

相当の影響を積み重ねるものと想像します。

 

よく、

 

「腹から声を出せ」

「筋力をつけないと」

「喉を開け」

 

などと言ったり言われたりすることがあると思いますが、

私が推奨する歌唱法の考え方では、

 

声はあくまで声帯と呼吸関連器官の円滑な連動性によって

主に生まれるものであり、腹筋も背筋も立って歩ける程度もあれば十分。

喉も無理に開こうとするのは結果的に筋緊張を助長するだけで

その行為にさほど有効性はない。

 

では、何が重要なのか?というと、

単純にどれだけ

 

”力み”がとれ、”ゆるんだ”状態

 

になれるか。

これに尽きると思っています。

 

そのために通常は整体師さんたちが勉強するような

解剖学というのを自己学習したりもします。

 

基本的に筋骨の力を優先的に上げる必要はありません。

それよりもしくみを知り、できるだけ赤ちゃんのように

力みがなくしなやかな状態にコンディションを保つ、

または、整える方法を習得することが理想です。

 

そのため骨の歪み、筋緊張など、

これらを阻害する可能性のある要因はやはり

可能な限り最大限、避ける努力をすべきだろうと考えます。

 

骨の歪みは主に長い間の生活習慣、

筋緊張においては時に精神状態によってもかなり悪化するので、

その意味でもメンタルケアというのは歌唱者にとって

とても重要なものだと思っています。

 

心身が健やかな状態を保ち、

十分にゆるんだ状態に整えられれば、

基本的には喉の緊張がほぐれ自然と開きます。

(※正確には喉だけでなく、胸も開きます)

 

言うなれば、

自分の体が丸ごと太い筒になったような状態。

 

歌うために必要な声帯の筋肉を

上手に鍛錬していくことも必要ですが、

まずはこれをベースコンディションとして

出来る限り整え、保つこと。

 

どんなに声帯の筋肉を鍛えたところで

これがなければ硬く、詰まった声しか出ません。

 

二足歩行で日常生活を送る大人にとって

簡単そうで実際にはなかなか高いハードルなのですが、

常にこういったことを意識して過ごすだけも

かなりのトレーニングになると思います。

 

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コメント: 2
  • #1

    たかぞう (火曜日, 05 12月 2017 06:46)

    おはようございます。

    若い頃から、歪みとか細かい所のメンタルケアをやっていかないと、
    やはりメジャーアーティストさんが魅せるあのような誰にも真似できない完璧なパフォーマンスは出来ないってことですよね…。

    なんか、野球漫画の巨人の星や卓球の福原愛選手を連想しますね。

    学生時代はどうしても遊びたくなりますから、無理をしがちで骨関係なんか、意識するはキツイです…。

  • #2

    iidasatomi (火曜日, 05 12月 2017 10:20)

    そうしなければならない、ということはないと思いますよ。
    ただ、私が知る限り、プロの世界で活躍し続けている方々の多くは
    忙しいながらも自分の体をケアしてあげたりして大切にはされてますね。

    ストイックになり過ぎて心を追いつめても仕方ないし、
    要は自分の心や体にしっかり寄り添ってあげることじゃないでしょうか。
    良いコンディションを保つことはプロとして重要な仕事ですからね。

    若い頃はそんなことを気にするまでもなく無理しがちだったり、
    経験が少ないゆえに心を追いつめることを我慢してしまったり、
    そういうことがままあると思います。

    時が経てばそれらも人それぞれに昇華されていくのですけれど、
    結果を勝ち取るには人と同じことをやっていても難しいのも現実。

    こうやったからといって必ず願う結果を得られないのが
    商業音楽という特異な世界ですが、
    私の立場で言えることがあるとしたら、

    自分はぜんぶ限界までやり切った!

    そう思えないとものすごく後悔するよということ。
    時間だけは取り戻せないので。

    うまくいかなかったとしても、仮にある程度うまくいったとしても、
    あの時もっとやっておけばよかった・・・と思っても戻れない。

    私も後悔してることが全くゼロかと言えばもちろんなくはないですが、
    幸い、自分自身に対しては後悔してることはありません。

    何をどこまでやり抜くかはその人次第ですが、
    やっておけばよかった、という後悔だけはないようにしてほしい
    若い歌唱者たちにはいつもそう願っています。