誰でも、人生の一時期をふいに思い出させる歌や声がある。
好きで飽きるほど聴いたり、歌ったりした曲は他にもたくさんあるのに、
20年近く経った今も、胸をしめつけるように切なく、あの頃の気持ちだけ
不思議とフラッシュバックして、理由もなく突然涙があふれる。
特定の場面や出来事にリンクすることもない、長い時間が経った今では
もうとっくに消え去ったようにさえ感じている心の奥の癒えない傷あとなのだろうか。
懐かしいという言葉ではない、自分の中の何か。
もしこれから先、それを二度と思い出すことができないとしても、
たぶん、私にとってあの頃のすべてが今日(いま)につながる意味をもっていたことだけは
間違いないと思っている。
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