職業作家とアーティストの違い

ひと言で表すなら、「ひらめき優先思考」かどうかの違いだと思っている。

 

両方の立場を経験している私のケースを振り返ると、アーティスト活動しか経験のなかった時代はやはり100%そうだったし、活動休止以降は仕事の環境や状況の変化と比例する形でそうでなく書くようになっていった。

 

感覚の過渡期というか、同じ人間の中に【真逆のスタンス】が共存するには、そうやって適度なバランスを定着させる時間が必要だったろうと思うし、それは経験の積み重ねでしか成し得ないものだとも思う。

 

2017年から自身の活動を再開したことで、最近の私の創作がどうなっているかというと、時にもよるのだけれど、概ね50%ずつという感じだろうか。

 

以前出演したイベントでもこの辺の話には少し触れたのだけれど、作詞にせよ作曲にせよ、

 

「先に弁当箱を決める」

 

ということを職業作家というのは基本的にやっている。

 

依頼主から詳しいオーダーがあれば当然その条件を考慮した形で弁当箱を選定していくし、オーダーがざっくりしていたとしても自分なりに弁当箱を見定めて、作品を構築していく。

 

アーティストオンリーの立場だった頃の自分の創作活動を思い出してみると、「(私が)歌いたいもの」「(私が)書きたいもの」がつねに本質的根底にあり、思いついたことを思いついたまま言葉やメロディーにしていた。

 

要するに弁当箱のことなど考えず、おかずのことばかり考えている状態。

 

一方で、最近では多少時代も変わり、アーティストでありながら職業作家のような人たちもちょいちょい見受ける。

 

水野良樹さん(いきものがかり)などはまさにその代表例だと思うし、ゆえに彼がテレビ番組等で語っているコメントには多くの職業作家が共感するポイントがいつもたくさん詰まっている。

 

個人的にはそういう調整作業は本来、プロデューサなど裏方の役回りであり、アーティスト本人にはもっと自由かつひらめき優先であってほしいと思うけれど、立場やジャンルに関わらずマルチプレーヤが重宝される時勢下では水野さんのようなタイプが出てくるのも、ある意味当然の流れなのかもしれない。

 

このテーマをもう少し掘り下げると、当然ながら歌詞やメロディーを吟味する時の職業作家目線の着眼点の話に及ぶことになるのだけども、それについてはまた別の機会に書くとする。