ビブラート持論

ある程度の年数、スキルを積んでいる歌唱者に最も不足している傾向が高いと個人的に感じているのが、ビブラート。

 

歌を歌い始めた頃、おそらく大半の人はビブラートはかけられない。

 

それが歌っていくうちにいつの間にか【何となく】できるようになって【しまって】いる、もしくは「できない」状態から「とりあえずできる」状態に練習する、という2パターンがあるかと思う。

 

ちなみに、私自身はどちらかというと、後者。

 

ただその前にまったくビブラートが使えなかったかというと、そうでもなかったように記憶している。

 

長年歌うことを様々なジャンルや角度から研究してきた私としては、歌唱者として「何の意志・意図もなく行うビブラート」が最大のごまかしだと思っている。

 

実際、そうなってしまっている歌唱者はおそらくアマチュアのみならず、プロでもけっこういる。

 

ビブラートを使う歌唱者には是非一度、すべてノンビブラートで歌ってみてほしい。

 

とたんに音程がとれなくなったり、ロングトーンが保てなくなったりと、自分がいかにメロディーや語感をごまかして歌っているかを思い知らされることと思う。

 

いつもいつも言っていることだけど、「すべてに意志・意図をもつ」これが大前提であり、基本。

 

みんな発声や喉のケアなどにばかり気を取られていて、ビブラートに関しては完全にノーマーク、相当無頓着だなといつも思っている。

 

いつもいつも同じ、歌うたび一辺倒のビブラートしか出て来ない人は100%ここに意識のない歌唱者であり、本質的に上辺の技術や雰囲気しか見えていない考えていない可能性が高い。

 

逆にノンビブラートの歌唱者もいるが、私自身は無責任にビブラートを多用するくらいなら、ノンビブラートのほうが嫌でもメロや語感を強く意識させられるので、全然イイと思っている。

 

但し、理想的には両方できて両方使いこなせるのが当然ながら、ベスト。

 

歌唱者であれば「私はこれでいい」ではなく、それを目指してほしいところ。

 

ビブラートありきで歌うのがデフォルトになっている人は、まずビブラートをやめてみることに取り組んでもらいたいと思う。

 

また、ビブラートも一通りではなく、歌詞・メロディー(とくに語尾)によって本来、波の縦幅・横幅は無限に存在するはず。

 

「私は、こう歌う」

 

という意志・意図をしっかりビブラートにも落とし込んで、丁寧にメロディーはもちろん、メロディーのないところ隅々まで歌うこと。

 

これを極めていくのはとても難しいことだけど、歌唱者ならせめて意識だけでもしてほしい。

 

それもせずにボイトレばかりやっていても、”イイ歌を歌うため”には何の意味もないと思っている。